“とにかく現場を見た”IoT提供者のリアルな3年


「まず現場を見てから考えよう」――IoT開発に足を踏み入れてから、私(福西)が何よりも重視してきたのは、机上の理想ではなく現場の現実でした。この3年間、全国の現場に足を運び、空気を感じ、ユーザーと対話し続けてきました。

ご存じの方もおられるかもしれませんが、筆者は貸会議室や音楽スタジオ、撮影スタジオなど、無人運営施設を支援する予約・照明・空調・スマートロック制御システムを開発・提供してきました。対象の多くは地方の施設で、人手不足の中「誰も常駐せずに運営する」ためにIoTが求められていました。

現場に導入すると、「操作が分かりづらい」「通信が不安定」「反応が遅い」などの声が上がってきます。これらの声は、机の上では絶対に見えない“生のリアリティ”であり、現場でしか得られない学びでした。

以前、IoTは“誰も育ててくれない”問題 で記載しましたが、サービスは、育たない前提で完成させて出す べきです。しかし、ちゃんと聞いていけば、かなりの意見(クレーム?)も出ます。なので、すぐにサービスを出し意見を聞くのは正解なのです。

ここで、絶対に誤解してほしくないことがあります。よく「後から改良できるから、とりあえず出そう」と言われるのですが、それが「デバイス交換が必要」「現地訪問が必須」という形でしか改良できないなら、最初の設計に問題があります。拙速な提供で、バージョン管理が複雑化したり、現場が混乱したりするからです。

一方で、リモートで後からアップデートできる前提で作られているなら、たとえ拙速であっても、まず世に問うことは非常に重要です。大切なのは、「現地に行かずに済むように最初から設計すること」。これを欠いたIoTは、後で“育てる”ことができず、結果的に見向きもされない製品になります。

IoT開発は「納品してからが本番」。この3年で私が得た最大の学びは、現場を見て、現場に行かずに済む仕組みを作る――この一見矛盾したようで本質的なスタンスこそが、現実のIoT運用を支えるということでした。

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