なぜ日本でスマートホームが流行らないのか?


― 技術ではなく「文化」と「経済」の壁 ― 

スマートホームは世界的には注目されている分野ですが、日本では依然として普及率が低いままです。 
その背景には、技術面ではなく、文化的・経済的な要因が複雑に絡み合っています。 

❶ 提供者は“効果効能”を語っていない 

日本人にとって、「便利」という言葉は思った以上に弱い訴求です。 
家電もサービスも、“効能(何がどう良くなるか)”を丁寧に説明しなければ動きません。 

ところがスマートホーム関連の販促は、「アプリで操作できる」「音声で照明がつく」といった機能の紹介で終わっていることが多い。 
生活がどう変わるのか、何に困っている人に刺さるのか――その価値の翻訳がされていないのです。 

❷ 消費者は“完璧”を求めている 

日本の消費者は、製品に対して非常に高い完成度を期待しています。 
スマートホーム機器にありがちな「たまに接続が切れる」「反応が遅い」「電池が切れていた」といった軽微な不具合も、“故障”とみなされてしまう傾向にあります。 

特に高齢層では、使えない瞬間があるだけで「もうこれはダメ」と不信感につながりやすい。 
にもかかわらず、その裏にある理由の多くは「通信環境」や「電池切れ」といった機器外の要因です。 

❸ サブスク嫌い × 価格にシビアな消費マインド 

日本では「失われた30年」と言われる長期デフレが、**“買い切り文化”と“価格感度の高さ”を根付かせました。 
スマートホーム機器にありがちな月額課金(クラウド利用・遠隔サポート)**への抵抗感は根強く、 
「高い」「毎月かかるのは嫌だ」といった理由で導入を躊躇する人も少なくありません。 

❹ 完璧を求めるのに、継続ケアを拒むという矛盾 

ここに悪循環が生まれます。 
完璧を求めるのに、継続的なメンテナンス費用(サブスク)には払いたくないという構造です。 
その結果、ユーザーは不満を感じ、提供者は改善サイクルを回せず、両者の期待がすれ違ったまま市場が冷え込みます。 

日本でスマートホームが広がらない理由は、「機能が足りない」からではありません。 
“伝え方”と“支え方”が、今の文化や生活感に合っていないのです。 

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